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第1次世界大戦勃発後の国内諸工業の発達により鉄鋼材の需要が急激に増加したが当時のわが国の鉄鋼業は規模が小さく鉄鋼材は主として英国,ドイツ,米国から輸入されていた.大戦の進展に伴い大正5年(1916)までには英国,ドイツが翌6年(1917)8月には米国が鉄鋼材の輸出禁止を宣言しわが国の造船業も深刻な事態に直面することとなった. 船鉄交換は最初,英国からの船舶供給援助の要求の際に日本側から条件を持ち出したが英国側も材料難のため,米国との商議を提案してきた.日米両政府の交渉は米国側の要求が厳しい内容であったため進展せず,日本政府は6年11月に提案を撤回するに至った. このため国内主要造船業者が新任のモリス駐日大使に船舶と鉄材の相互交換の商談の提案を開始した.その際中心となったのは当時,米国にもっとも大量の鉄材を発注していた鈴木商店の金子直吉が関西を代表し,関東を代表したのは淺野総一郎であった.7年2月には米国に対する船鉄交換条件を議定し逓信省が米国と交渉をしたが提案は拒否され続く第2案も拒否される状況であった.このため金子,淺野両氏は直接モリス大使と会見し3月23日にようやく問題の解決をみた. |
第1次船鉄交換の契約条件は鋼材1トンに対し重量トン1トンの割合でわが国より竣工済みまたは建造中の船舶15隻(約12万7800重量トン)を大正7年(1918)5月より9月まで米国の海港で引渡し,それに対する鋼材(12万7800トン)を船舶引渡期日前に米国沿岸で受取る内容であった.船価は引渡期日により異なり重量トン1トン当たり225ドル乃至265ドル,鋼材の引取価格は各造船所および輸入商の規約値段によった.なお当初第1次の提供船は12隻の予定であったが川崎造船所提供分が3隻追加された.
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| No. | 船名 | 総トン数 | 進水年 | 船主 | 建造所 | 備考 |
| 1 | 第十八大福丸 Taifuku Maru No.18 | 5,858 | 1918(大7) | (株)川崎造船所 | (株)川崎造船所 | 第十八大福丸 - 18,Eastern Queen - 53 |
| 2 | Easterner | 5,858 | 〃 | U.S.ShippingBoard | 〃 | 第十九大福丸 - 18,Easterner - 37,Mari Chandris - 40 |
| 3 | Eastern Sun | 5,860 | 〃 | 〃 | 〃 | 第二十大福丸 - 18,Eastern Sun - 37 |
| 4 | Eastern Sea | 5,859 | 〃 | 〃 | 〃 | 第二十一大福丸 - 18,Eastern Sea - 35 |
| 5 | East Wind | 5,865 | 〃 | 〃 | 〃 | 第二十六大福丸 - 18,East Wind - 33 |
| 6 | イースト ケープ East Cape | 5,865 | 〃 | 〃 | 〃 | 第二十七大福丸 - 18,イースト ケープ - 35 |
| 7 | イースターリング Easterling | 5,865 | 〃 | 〃 | 〃 | 第二十八大福丸 - 18,イースターリング - 37,Antonios Chandris - 37,第二十八大福丸 - 40 |
| 8 | 第七與禰丸 Yone Maru No.7 | 2,963 | 〃 | 帝國汽船(株) | 帝國汽船(株)播磨 | 第七與禰丸 - 18,Eastern King - 37,第七與禰丸 - 37,Eastern King Maru - 38,昌山丸 - 43 |
| 9 | 第八與禰丸 Yone Maru No.8 | 6,806 | 〃 | 帝國汽船(株)播磨 | 〃 | 第八與禰丸 - 18,Eastern Shore - 52 |
| 10 | 第六霧島丸 Kirishima Maru No.6 | 4,737 | 1917(大6) | 帝國汽船(株) | 浦賀船渠(株) | 第六霧島丸 - 17,Eastern Cross - 30,Orochen - 70 |
| 11 | いいすたん らいと Eastern Light | 7,149 | 1918(大7) | U.S.ShippingBoard | (株)大阪鐵工所因島 | いいすたん らいと - 26,Willkeno - 37,Isthmian - 39,Illinoian - 44 |
| 12 | Eastern Star | 4,378 | 1917(大6) | 〃 | 〃 | 明玄丸 - 18,Eastern Star - 33 |
| 13 | Itelmen | 4,385 | 1918(大7) | Sovtorgflot/U.S.S.R. | 〃 | いいすと ぽうと - 30,Itelmen - 60 |
| 14 | East Indian | 8,226 | 〃 | U.S.ShippingBoard | 浦賀船渠(株) | 米國丸 - 18,East Indian - 42 |
| 15 | Eastern Chief | 4,753 | 1917(大6) | 〃 | 〃 | 第三吉田丸 - 18,Eastern Chief - 36 |
第七與禰丸 YONE MARU NO.7 (1918) (1918) 帝國汽船株式会社播磨造船工場(相生)建造
![]() 第七與禰丸 Yone Maru No.7 (1918) |
第八與禰丸 YONE MARU NO.8 (1918) 帝國汽船株式会社播磨造船工場(相生)建造
![]() 第八與禰丸 Yone Maru No.8 |
第六霧島丸 KIRISHIMA MARU NO.6 (1917) 浦賀船渠株式会社(浦賀)建造
![]() 第六霧島丸 Kirishima Maru No.6 |
| 本船は帝國汽船播磨造船所から前年度に外注された船舶であった.後にEASTERN CROSSと改名. |
いいすたん らいと EASTERN LIGHT (1918) 株式会社大阪鐵工所因島工場(広島)建造
![]() いいすたん らいと Eastern Light |
EAST INDIAN (1918) 浦賀船渠株式会社(浦賀)建造
![]() East Indian |
| EAST INDIAN,建造時は米國丸と呼称.本船は後年,米国船舶院からフォード社に売却,ディーゼル主機に換装され外観上は煙突が太くなった.この話題は当時の日本造船協会の会誌にも紹介された.昭和17年(1942)に南アフリカ沖の大西洋でドイツのUボートの雷撃により沈没.詳細は船歴を参照. |
第2次船鉄交換の契約条件は重量トン2トンに対し主要材料1トンの割合で米国より主要材料の供給を受けて建造,引渡しを行う.米国沿岸での船舶引渡し価格は重量トン1トン当たり175ドル,材料価格は米国太平洋岸または大西洋の港において鉄道貨車渡し鋼板1英トンにつき72ドル80セント,型材同67ドル20セント,棒材同64ドル96セントという内容であった.船舶提供者のうち旭造船所の分は都合(同所閉鎖)により浦賀船渠が肩代わりした.
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イースタン ムーン EASTERN MOON (1919) 株式会社川崎造船所(神戸)建造
EASTERN OCEAN (1920) 株式会社川崎造船所(神戸)建造
EASTERN PLANET (1920) 株式会社川崎造船所(神戸)建造
EASTERN DAWN (1920) 株式会社川崎造船所(神戸)建造
EASTERN CLOUD (1920) 株式会社川崎造船所(神戸)建造
イースタン ソルジャー EASTERN SOLDIER (1920) 帝國汽船株式会社播磨造船工場(相生)建造
![]() イースタン ソルジャー Eastern Soldier |
イースタン パイロット EASTERN PILOT (1919) 帝國汽船株式会社播磨造船工場(相生)建造
![]() イースタン パイロット Eastern Pilot |
| 第1次のEASTERN KINGと同型. |
いいすたん ないと EASTERN KNIGHT (1920) 株式会社大阪鐵工所櫻島工場(大阪)建造
![]() いいすたん ないと Eastern Knight |
| 第1次で提供されたいいすたん らいとと同型だがこの4隻は全て株式会社大阪鐵工所の櫻島工場で建造された. |
いいすたん まりなあ EASTERN MARINER (1920) 株式会社大阪鐵工所櫻島工場(大阪)建造
いいすたん あどみらる EASTERN ADMIRAL (1920) 株式会社大阪鐵工所櫻島工場(大阪)建造
いいすたん せいら EASTERN SAILOR (1920) 株式会社大阪鐵工所櫻島工場(大阪)建造
イースタン インポーター EASTERN IMPORTER (1920) 三井物産株式会社造船部玉工場(岡山)建造
![]() イースタン インポーター Eastern Importer |
イースタン エキスポーター EASTERN EXPORTER (1920) 三井物産株式会社造船部玉工場(岡山)建造
イースタン リィダア EASTERN LEADER (1920) 藤永田造船所(大阪)建造
![]() イースタン リィダア Eastern Leader |
いーすたん てんぷる EASTERN TEMPLE (1920) 新田造船所(大阪)建造
![]() いーすたん てんぷる Eastern Temple |
ROBERT LUCKENBACH (1919) 株式会社淺野造船所(鶴見)建造
いーすたーん とれーだー EASTERN TRADER (1919) 株式会社淺野造船所(鶴見)建造
![]() いーすたーん とれーだー Eastern Trader |
いーすたん ぶりーず EASTERN BREEZE (1919) 浦賀船渠株式会社(浦賀)建造
| 浦賀船渠建造の4隻のうち1隻分は当初,旭造船所(大阪)の予定を引受けて建造した. |
いーすたん げーる EASTERN GALE (1919) 浦賀船渠株式会社(浦賀)建造
イースタン・テンペスト EASTERN TEMPEST (1920) 浦賀船渠株式会社(浦賀)建造
![]() イースタン・テンペスト Eastern Tempest |
いーすたーん そーど EASTERN SWORD (1920) 浦賀船渠株式会社(浦賀)建造
![]() いーすたーん そーど Eastern Sword |
いーすたん くらうん EASTERN CROWN (1920) 三菱造船株式会社長崎造船所(長崎)建造
![]() いーすたん くらうん Eastern Crown |
イースタン ベル EASTERN BELLE (1920) 株式会社東京石川島造船所(東京)建造
イースタン メード EASTERN MAID (1920) 株式会社東京石川島造船所(東京)建造
![]() イースタン メード Eastern Maid |
イースタン ガイド EASTERN GUIDE (1919) 横濱船渠株式会社(横濱)建造
![]() イースタン ガイド Eastern Guide |
イースタン クラグ EASTERN CRAG (1920) 横濱船渠株式会社(横濱)建造
EASTERN COAST (1920) 横濱船渠株式会社(横濱)建造
![]() Eastern Coast |
イースタン グレード EASTERN GRADE (1919) 株式会社内田造船所(横濱)建造
![]() イースタン グレード Eastern Grade |
イースタン グレン EASTERN GLEN (1920) 株式会社内田造船所(横濱)建造
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